旬の映画、旬の小説
2008-07-26T02:54:08+09:00
kyou2005
旬の映画、旬の小説をレビュー。たまに道草もします。mailto: kyou2005@excite.co.jp
Excite Blog
マンデラの名もなき看守
http://kyou2005.exblog.jp/7338964/
2008-07-26T02:53:42+09:00
2008-07-26T02:54:08+09:00
2008-07-26T02:54:08+09:00
kyou2005
映画
アパルトヘイト時代の南アフリカを舞台に、後にこの国初の黒人大統領になるネルソン・マンデラと、黒人の言葉が話せたために獄中のマンデラの看守を務めることになった白人男性との友情を描く。実話を基にしているそうだ。
悪くはないのだが、いろいろな要素を盛り込みすぎて、何だかどっちつかずになった印象。異なる価値観の中で揺れる看守の心の内を、もっと丁寧に描くべきではなかったか。非常に重要な登場人物であるはずの看守の妻のキャラクターの作り方も、場面によって温かい人になったり愚かな人になったり、再三ぶれている感じがして気になった。
魅力的なエピソードがいろいろあるのに、うまく料理できていない感じ。もったいない。]]>
クライマーズ・ハイ
http://kyou2005.exblog.jp/7323254/
2008-07-21T01:36:00+09:00
2008-07-21T01:39:05+09:00
2008-07-21T01:37:18+09:00
kyou2005
映画
日航機墜落事故の現場となった群馬の地方新聞社が舞台。全権デスクとして事故を担当することになった男が、社内のさまざまな軋轢に翻弄されながら自分の人生を見つめなおす姿を描く。
原作を先に読んでいて話を知ってしまっているので、映画の出来を客観的に判断するのが難しい。新聞社の雰囲気はよく描きこまれていてあまり嘘っぽさがなく、堤真一も迫力があってよかった。登山の雄大な映像も印象に残った。でも、原作を知らずに映画を観た人は、日航機事故の話と山登りとの関連性にやや無理があるように思えたのではないか。タイトルが「クライマーズ・ハイ」である以上、事故報道に関する部分がいくらよく描けていても、もう一つの筋である父としての堤真一の葛藤をきちんと描いていかないとバランスが取れないのではないかと感じた。
映画を観る前に、佐藤浩市がやったNHKのドラマのほうがよかったという声を多く耳にした。映画のほうが尺が短いからある程度仕方ない部分はあるにしても、やはりその評価は否定しにくいと思う。
堤真一の上司の部長を演じる遠藤憲一がなかなか。妙に印象に残った。
]]>
ストロベリーショートケイクス
http://kyou2005.exblog.jp/7323216/
2008-07-21T01:26:39+09:00
2008-07-21T01:16:41+09:00
2008-07-21T01:16:41+09:00
kyou2005
映画
自分の居場所を求めて悩む女性4人の群像劇。それぞれに傷つきながらも前を向こうとする女性たちに救いがあるのかないのか、おそらくあったという結末なんだろうけど、そういう空気で終わる必然性があまりに希薄な気がした。そこまでの暗さがリアルなだけに、なおさら。
加瀬亮と安藤政信、地味だけどうまい。]]>
時が滲む朝
http://kyou2005.exblog.jp/7317631/
2008-07-19T01:55:00+09:00
2008-07-21T01:17:24+09:00
2008-07-19T01:56:20+09:00
kyou2005
本
受賞をどう評価すればいいのか、なかなか難しいところだ。名のある賞に輝くには小説としてあまりに平凡だと思うし、文章もあまりに稚拙だと思う。その一方で、物語として読みやすく、作者の気持ちのようなものがきちんと伝わってくるという点で、小説として書店に並ぶ作品の本来の姿に立ち返っているという印象を受けたのも確かだ。
乱暴に言えば「下手だけど好感は持てる」。芥川賞は新人賞なのだからそれでいいのかもしれないが、逆にこれ以上のものが出てこない日本の文学の現状を目の当たりにした気がした。
「書きたいものをちゃんと持っている」という講評はまさに言い得て妙というか、書きたい何かがあるのは伝わってくるが、まだプロの業の体を為していない、というところではないか。この文の書き出しの際に作家名を呼び捨てにすることになんとなく違和感を感じ、「楊逸さん」と書いてしまったのも、僕の意識の中にそんな感触があったせいかもしれない。中国国籍の受賞者であることが話題を呼んで売り上げにつながる、との策略がどこかでめぐらされたのでないことを祈るばかりだ。
]]>
パーク アンド ラブホテル
http://kyou2005.exblog.jp/7290827/
2008-07-10T02:27:42+09:00
2008-07-10T02:28:05+09:00
2008-07-10T02:28:05+09:00
kyou2005
映画
舞台は屋上に公園がある奇妙なラブホテル。心のどこかに傷を抱えて公園を訪れた女性たちが、ホテルの無愛想な女主人とのやりとりを通じて自分と向き合い、再び歩き出すまでを描く。
設定の風変わりさとはうらはらに、割と地味な作品。安定しているが、新人ならもう少し鮮烈さというか、驚きのようなものがあってもよかったか。]]>
亀は意外と速く泳ぐ
http://kyou2005.exblog.jp/7287898/
2008-07-09T02:09:59+09:00
2008-07-09T02:10:22+09:00
2008-07-09T02:10:22+09:00
kyou2005
映画
「時効警察」につながるゆるゆる感が漂う脱力系コメディ。上野演じる平凡な主婦が、「スパイ募集」の張り紙を見つけたことから奇妙なミッションに足を踏み入れる。
「時効」「転々」を見た今となってはギャグがワンパターンに思えてしまうが、それでもゆるく笑って最後にほのぼの、という感じがまあまあの満足感を与えてくれる一作。上野樹里が魅力的。長さもコンパクトでいい。
]]>
ぐるりのこと。
http://kyou2005.exblog.jp/7275210/
2008-07-05T02:56:00+09:00
2008-07-09T02:06:08+09:00
2008-07-05T02:57:08+09:00
kyou2005
映画
期待して見に行ったが、ちょっとがっかりして帰った。木村多江が演じる妻の気持ちがどんどん崩れていく様子は途方もなくリアルでずっしり響くが、そこから持ち直すまでの過程に説得力がない。夫役のリリー・フランキーからも、演技を通して何を見せたいのかがなかなか伝わってこない。
そこへ持ってきてもともと全体の構成にスピード感がないから、140分が長かった。一つ一つのシーンに説得力があっても、その積み上げ方に冴えがないと生きないということなのではないか。裁判のシーンに実在の事件を思わせるエピソードを使う手法も、作り物感が鼻についてあまり効果的ではなかったと思う。
]]>
休暇
http://kyou2005.exblog.jp/7265987/
2008-07-02T02:41:00+09:00
2008-07-02T03:09:22+09:00
2008-07-02T02:41:29+09:00
kyou2005
映画
これはなかなか隙のない秀作。死刑制度の是非をテーマにした作品かと思ったが、その問題は脇に置いておいて、人の生きる意味を静かに問いかける深みのある作品に仕上がった。物語の奥底まで深く深く考えながら作らないと、なかなかこういう作品にはならない。
死刑囚役の西島秀俊と、先輩刑務官役の大杉漣の好演が光った。大杉が小林に「命の重さを何だと思ってる」と迫る場面は、刑務官たちの苦悩が痛いほどにじんで、「それボク」みたいないわゆる社会派ドラマだと思って漫然と眺めていた僕はそこから一気に引きこまれた。
妻を演じる大塚寧々の終盤の一言が、ただでさえ重みのある物語にさらなる奥深さと強さを与えてくれる。よけいな効果音を差し挟まず、胸をしめつけるような静寂とやわらかな光で淡々と物語をつないでいく手法にも好感が持てた。心の奥底でそっと音をたてるような、地味だけれど温かい一作。
]]>
花より男子ファイナル
http://kyou2005.exblog.jp/7257867/
2008-06-29T19:12:00+09:00
2008-06-29T19:16:07+09:00
2008-06-29T19:13:02+09:00
kyou2005
映画
TVシリーズの第2弾「花より男子2」の最終回の後の、美形御曹司4人組「F4」のリーダー道明寺明とヒロイン牧野つくしの物語。「2」の最終回で結婚を決めた(と思われる)2人だが、つくしが道明寺の家族から贈られたティアラが盗まれ、これを取り戻すための2人の冒険が始まる。
本来ならこの手の映画を僕が公開直後に見にいくことはないのだが、もののはずみでほぼ女性ばかりの試写会場に足を運ぶ羽目になった。「HERO」の劇場版を見たばかりなのでついその出来と比べながら見てしまったが、こちらはだいぶましだったと思う。
ストーリーは荒唐無稽、話の筋も見え見えだが、嵐・松潤をはじめとして、要はかっこいい男の子を見てうっとりしたいという大方の来場者のニーズをきちんと理解し、十二分にその要求に応えていたと思う。案の定、隣に座っていた高校生くらいの女の子たちも「よかったあ」とため息をついていた。もちろん僕にはそんな感激はなかったけれど、この手の作品にしてはカメラもよく、海外ロケのシーンの美しさが印象に残った。]]>
ベルカ、吠えないのか?
http://kyou2005.exblog.jp/7250390/
2008-06-27T03:53:00+09:00
2008-07-19T01:33:39+09:00
2008-06-27T03:54:14+09:00
kyou2005
本
「4頭の犬から始まる現代史」との触れ込みをまったく大げさに感じさせない、壮大な年代記だ。1940年代、日本軍が撤退した島に残された無人島に残された軍用犬。彼らはやがて島を離れ、その子孫たちがさまざまな巡りあわせから世界に散り、壮大な物語を紡ぎだす。
荒々しい祈りのような独特の文体が、神話性を帯びた物語を前へ前へと押しすすめる。ストーリーは厚く重いけれど、重厚な精神性というより、むしろハードボイルドのような乱暴さと空虚さを強く感じた。
迫力に気圧されて読み終わった後に結局何が残るのか、という点は難しいところではあるけれど、いずれにしても上質なエンターテインメントであることに変わりはない。こういう作品の向こうを張れる作品を、純文学はどれほど生み出せているだろうか。
]]>
HERO
http://kyou2005.exblog.jp/7247428/
2008-06-26T03:36:00+09:00
2008-06-26T03:39:09+09:00
2008-06-26T03:36:47+09:00
kyou2005
映画
キムタク演じる検事・久利生公平が担当する傷害致死事件の被告の弁護を、松本幸四郎が演じる大物弁護士が担当することになったところから物語が始まる。一見ありふれているように見えた事件にスター弁護士が乗り出した陰には、大物代議士の贈収賄疑惑がからんでいることがわかり……というような話。
カメラワークもコマ割りも落ち着かず、小細工が空回りした印象。この手の映画にはよくあることだけれど、韓国のシーンも海外ロケをやるために無理やり設定したような感じで、興ざめだった。あまりに取ってつけたようなエンディングもひどい。
1時間枠のドラマでやれる話にだらだら2時間かけたような印象すら受けた。ドラマは好きだったのでちょっと楽しみにしていたんだけど、言葉は悪いが「映画をなめるなよ」という感じ。
]]>
世界で一番美しい夜
http://kyou2005.exblog.jp/7244210/
2008-06-25T02:00:00+09:00
2008-06-26T03:17:06+09:00
2008-06-25T02:00:51+09:00
kyou2005
映画
2時間半の大作だったが、若干消化不良な印象。出生率急上昇の原因がセックスがらみの話であることは初めから予想はつくのだから、話がそこにたどり着く経過でいかに魅力的なメッセージを発するかどうかが勘所なのに、想像の範囲を全然逸脱しないベタな展開のまま終わってしまった。
しかし石橋凌、かつてロック少年たちの心を激しく揺さぶった男があんなんでいいのか。ちょっと悲しかった。]]>
アフタースクール
http://kyou2005.exblog.jp/7244175/
2008-06-25T01:38:00+09:00
2008-06-25T01:43:47+09:00
2008-06-25T01:38:54+09:00
kyou2005
映画
前作同様トリック系の作品なので、あらすじの紹介が難しい。あえて言えば、中学時代の淡い恋を背景に、今は社会人になった男たちが軽妙で複雑な冒険を繰り広げる、といったところか。
「運命じゃない人」と同様、複数の場面を時間軸をずらしながらつないでいき、パズルの最後のピースがはまると全然違うストーリーが見えてくるという手法。個性的だし非常に巧妙ではあるけれど、前作を超える出来を目指すあまり、仕掛けが複雑すぎてストーリーそのものの味わいが伝わりにくくなってしまった。
前作を気に入って映画館に足を運んだ人の多くが「前のほうが鮮やかだったな」という印象を抱いたのではないか。この監督は次作が正念場になる。]]>
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
http://kyou2005.exblog.jp/7244105/
2008-06-25T01:11:58+09:00
2008-06-25T01:12:19+09:00
2008-06-25T01:12:19+09:00
kyou2005
映画
舞台は20世紀初頭のアメリカ西部。石油を掘り当ててのし上がることにすべてを注いだ男の、欲望と激情に彩られた人生を描く。
とにかく濃い。そして重い。デイ・ルイスが強烈な上に、「リトル・ミス・サンシャイン」ではあんなにさわやかだったポール・ダノの牧師の演技が、これまた入りこんでいてすごい。
評価が分かれる映画だと思う。僕の周りにもこれを絶賛している人がいたけれど、もう少しキレというかシャープさというか、そういうもので観る者をスムーズにひっぱってくれる映画のほうが僕は好きだ。深みのまったくないハリウッドの娯楽作品がいいとは思わないが、そういう作品を通して築き上げてきたリズムと娯楽性みたいなものを、あまりに潔く捨てすぎなんじゃないだろうか。
少し気になったのは音楽と効果音。レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが関わっているらしいが、そのせいか作品全体の中でのバランスという意味では存在感がありすぎて、少しわざとらしい気がした。]]>
今夜、列車は走る
http://kyou2005.exblog.jp/7183598/
2008-06-06T02:38:00+09:00
2008-06-09T19:45:55+09:00
2008-06-06T02:38:53+09:00
kyou2005
映画
いい映画になりそうな要素をたっぷり持った作品だが、構成にちょっと難があった。邦題にも採られた「列車が走る」場面が物語のクライマックスなのだが、その展開に至る必然性をそこまでのストーリーできちんと固めきれていないため、監督が狙ったであろうドラマチックな感動が得られない。
似たようなことを某全国紙で沢木耕太郎が指摘していた。「そういう欠点もあるけど、それでも魅力的な部分のほうが上回っているいい作品だ」というようなことを書いていたけれど、冷たいようだがあれは致命的な問題だったように思える。
生きていく上での希望や夢といったメッセージを託すには、全体としてちょっと言葉足らずな感じ。スペイン語圏の映画ははまると本当にいいものがあるので期待して見たが、ちょっと残念だった。
]]>
https://www.excite.co.jp/
https://www.exblog.jp/
https://ssl2.excite.co.jp/